恋の宝石ずっと輝かせて2
 二人の話はどこまでも纏まらなかった。

 疑い出すと全てがばらばらに崩れて、どんな可能性もアリになってしまう。

「トイラはどう思ってるんだろう。ユキと同じようにトイラも映像を見たのかな」

 ユキは炒めたものを皿の上に乗せて、それをテーブルに置いた。

「いや、俺には何も見えなかった。だが、その石のことは暫く内緒にしていた方がいいと俺も思う」

「また急に出てくるんだな、トイラ」

「違う」

「何が違うんだよ」

「俺が仁の質問の答えを心に思うだけで無意識に飛び出してしまったんだ。出てくるつもりはなかった」

「それって、まさか、ユキの体の乗っ取りが徐々に強まってきたってことなのか?」

「多分そうだ。その石に触れてから益々力が増してしまったようだ。ユキと意識を通い合わせたこともその石が原因としか思えない。その石をこれ以上ユキに触れさせるな」

「わかった」

 仁は素直に言うことをきき、石を握り締めてジーンズのポケットに突っ込んだ。

「仁、この後ユキはカジビを探すことに躍起になるかもしれないが、仁はよく見極めろ。決して自分を見失うんじゃないぞ。そして馬鹿なことを考えるな。後始末は俺がつける。全てはこの俺が起こしてしまったことなんだから」

「トイラに指図されることなんて何もないよ。これは僕の問題でもあるんだから。僕は自分の思うようにしたいだけだ」

「なんでそうしょうもないところで頑固なんだよ」

「僕だって、もう引き下がれないところまで来ているんだ。ユキの事が好きだから、その気持ちだけでもトイラに負けたくないだけだ。とにかく引っ込んでくれないか。今は腹がへって仕方がなくイライラするんだ。ユキの料理の邪魔をしないでくれ」

 正当な理由とばかりに仁は不機嫌な態度を見せたが、内心トイラと話すことが辛いだけだった。

 トイラはあてつけのようにため息を一つついた。その顔もユキであるから、仁には複雑だった。

 その直後またユキの意識がすぐに戻ってきた。

 少し違和感を感じているのか、ユキはきょとんとしていた。

< 149 / 253 >

この作品をシェア

pagetop