恋の宝石ずっと輝かせて2
 お祭りを後にして、ユキと仁はお互いの手を繋ぎながら無言で暫く夜道を歩いていた。

 聞き間違いじゃないだろうか。

 しかし、はっきりと自分の耳に聞こえた。

 そんな事を思いながら、仁は時折りユキの横顔をそっと見る。

 暗くてぼんやりとした中で見えたその表情は、優しく微笑んでいるようであり、またどこか無理をして前を向こうとしているようにもみえた。

 トイラの意識が消えてからそんなにまだ時は経っていない。

 気持ちなどすぐには切り替えられるものではないけども、ユキは自分を受け入れてくれた。

 もう一度それを確かめたくて仁は恐々と声を出した。

「ユキ、さっきの言葉だけど……」

「うん? なあに?」

 仁を見つめる笑顔が暗闇で光を放っているように見えた。

 それは確かに仁だけに向けられた笑顔だった。

 仁が息を飲み込んだときだった。

 ドンと響いて突然大きな花火が夜空に上がっていた。

 二人はすぐに夜空を仰ぎ見つめた。

 また一つ上がり、爆発音がお腹にぐっと響く。

「うわぁ、きれい」

 次から次へと花火は大きな音とともに真っ暗な夜空に向かって、派手にそして一瞬の光を潔く散らす。

 ドンと鳴り響く音は体の中にまで届いてくる。

 音と共鳴した、体にぐっと響く力強い思いが、握っていたお互いの手に伝わってしっかりと絡みついた。

「花火は今その瞬間が豪快で美しいよね。そしてとても儚い……」

 花火が消え行くとき、仁の胸は無性に切なくなる。

 そう感じたのはそれがトイラの命と重なったからだった。

 その仁の気持ちをユキは素直に受け取った。

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