恋の宝石ずっと輝かせて2

 境内を囲っている木々は、夏の強い日差しで短く濃い影を作っていた。

 時折油蝉の鳴く音が響くと、耳障りさに気温まで上昇していくようだ。

 辺りの掃除は行き届いて小奇麗だが、神殿は立派なものではなく古ぼけている。

 夜になれば肝試しができそうなくらい、不気味な雰囲気がする寂れたものだった。

 ユキは何かを探すように階段を上り、吸い込まれるように神殿の中に入ろうとしていた。

 その動きは夢遊病者のようだった。

「ちょっとあんた、人間はその中に入れないことになってるんだけど」

 その言葉にはっとして、ユキが振り返ると、竹箒を持った巫女がそこに居た。
 キイトだった。

「あっ、なんで私、ここに入ろうとしたんだろう。あの、どうもすみません」

 ユキが慌てて降りようとすると、最後の一段で足を滑らせバランスを崩して尻餅をついてしまった。

 石をよけた時と全然違ったどんくささにキイトは首を傾げる。

「あんたさ……」

 何かを言い掛けたが、悪口になるのでその後を続けなかった。

 ユキはとても恥ずかしく、なんとか誤魔化そうと、立ち上がって何度も自分のスカートについた砂を払いながら微笑みかける。

「ここの関係者の方ですか?」

「当たり前じゃない、神の使いなんだから」

「そ、そうですよね。巫女さんですもんね」

 質問すれば答えてくれるが、どこかつっけんどんでありピリピリとしたものを感じる。

 ユキは長居は無用とばかりに、その場を去ろうとしたが、その動きはぎこちなく蟹が横歩きしているようだった。

 しかし、キイトは逃がしてはなるものかと強く睨みきった視線で釘をさす。

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