恋の宝石ずっと輝かせて2
「だけどあの人よ、校舎の裏の林で姿を見せずに私に声を掛けた人は。あの葉っぱもあの人が用意したのかもしれない」

「いや、それにしてはユキのことあまり知らなさそうだったし、たまたま巫女だっただけに、ユキが無理やりこじつけたいだけじゃないのかな」

 仁はとことんユキを否定する。ただ、仁は安易に決め付けるのがいやだっただけに過ぎない。

 しかし、ユキは納得いかなかった。トイラに会えるチャンスがあるのなら、例え悪魔に魂を売ってでもその力を借りたい。

 窓の外を見れば雨はすっかり止んでいた。

 青い空が広がって白い入道雲が浮きあがり、木々の緑の葉っぱの雨のしずくが玉となりきらりと光って清々しかった。

 だがユキの心はまだ夕立のような雨が降り続いている。

「雨も止んだし、僕、そろそろ帰るよ」

 立ち上がろうとしたとき、ユキがとっさに止めた。

「ダメだ、もう少しここにいろ」

 それはあまりにもぶっきらぼうでユキらしくなく、仁は目を大きく見開いて驚いていた。
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