恋の宝石ずっと輝かせて2
「ボケてるわけじゃないけど、なんだかぼーっとしちゃって」

「ユキは時々そうなるよね。以前から抱え込むような暗いところはあったけど、一度あんたを理解したらそこは繊細なユキのかわいいところなんだって思うようにしてる」

「何よそれ、まるで子供扱いね」

「あら、何言ってるの、まだまだ子供の癖に。それとも新田君とはあれから進展したの? もしかしていくとこまで行ったとか?」

 ユキははっきりと言うマリの言葉に赤面してしまう。

「ちょ、ちょっとなんでそんな話になるのよ。マリには関係ないでしょ」

「あー、ムキになるところが怪しい」

 わざとらしく目を細くしてマリはユキをからかう。

 もちろん冗談だと分かっているが、公の場でこういう話をするのは恥ずかしい。

 周りを見渡せば聞いてないようで好奇心丸出しに耳をすませている輩が何人かいた。

「マリ、勘弁してよ。私達はそんなんじゃないの」

「だけどさ、新田君はユキにぞっこんでしょ。ユキがそんなんじゃ蛇の生殺しじゃん。新田君の気持ち知ってて、ただ仲良くするなんてそっちの方がありえない。そろそろはっきりしてあげたら?」

 ユキはお説教をされてるようで気が重くなっていった。

 マリははっきり言わないと気がすまない性格上、まだ色々と言ってくる。

「あれじゃ見ててかわいそうだよ。新田君って結構かわいいから目を付けてる女の子一杯いるんだよ。ユキがはっきりしないからそういう女の子達はすごくヤキモキしてるだろうし、ユキだってそういう子たちから色々言われるの嫌でしょ。言われるだけならまだしも、嫌がらせに発展ってことにもなりかねないよ」

「でも、私達は、その……」

 その時通知表を抱えて担任が入って来た。

 マリはさっさと自分の席に戻っていって、クラスは急に静かになった。
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