恋の宝石ずっと輝かせて2
 説明するよりもすぐに実行して欲しいと、仁とトイラの高ぶった感情を読み取り、セキ爺は近くの神社へと一同引き連れて行った。

 地元のものは滅多に足を踏み入れる神社ではなかったので、昼間でも誰も人がいない。

 だが念のためにと、セキ爺は鳥居のある入り口に薄いカーテンをかけたように結界を張り、誰も入り込めないようにする。

 次にキイトに色々と指示をして準備をさせた。

 その間、トイラと仁は二人のやることを傍でじっと見ていた。

「この時期は日差しが強くてこれをするにはもってこいかもしれん」

 セキ爺は太陽の光を眩しそうに眺め、日当たりいい場所に立った。

「セキ爺、こんな石でいいか?」

 キイトは両手でやっと持てるような大きな石をゴロンと地面に置いた。

 上の部分が少しくぼんでいて、そこに手水舎から柄杓で汲んだ水を注ぐ。

 一体何が始まるのかとトイラと仁はひたすら黙って見ていた。

 セキ爺は作務衣の懐から虫眼鏡のような分厚いレンズを取り出し、それを太陽に掲げた。

「トイラ、その石の側に立つんじゃ」

 トイラは言われたまま、石を前にして立つ。それはユキと石が一緒に並んでいる姿だった。

 そしてセキ爺が手にしていたレンズを向けられると、太陽から集まった光がレンズを通してユキの額を照らした。

 熱さは特に感じられず、暫くずっとそのまま光を当てられていた。

「もうこれくらいでいいじゃろ。トイラ、石の上の水に触れるんじゃ」

 トイラはしゃがみこんで言われた通りに指先で水の表面に触れた。

 それと同時に隣で仁は声を漏らして突然目を見開いた。

 ユキの意識も水に触れたと同時に戻り、ユキは困惑しながらしゃがんだ状態で目の前を見上げた。

 その後は痺れるほど目の前の光景に心震わせた。

 そこにはトイラが立っていた。

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