ロスト・ラブ



さっきも同じだったから、その主が誰かなんてすぐにわかる。



「……なに」

「うわ、感じ悪」


精一杯の素っ気ない私の反応に眉をしかめるのは、やっぱり颯太で。



「お前、そのマスクどうしたわけ」

「別に。颯太には関係ないでしょ」

「……こっわ」



私のことなんて面倒で嫌いなくせに、無駄に突っかかってくる颯太に少しイラついた。


……気にしてるのは、私じゃないくせに。



「みんな篠原にあんまちょっかい出すなよ。でないとバックのこいつにしばき倒されるぞー」


クラスの男子たちにそう言いふらす颯太を見て、やっぱりと思った。



去年と同じ。


颯太は、いつも胡桃最優先。そのために、私を勝手に盾にする。



守りたいなら、堂々と守ればいいものを。




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