恋かもしれない
細かい砂を先に入れて、最後にザラメみたいな粒の荒い砂を全体に振り入れるとサンドが安定するからオススメらしい。

カラーサンド入れは一発勝負だ。

十色ほどのサンドが四角い容器に入ってずらりと並んでいて、何色をどんな風に入れようか迷ってしまう。

けれど、出来るだけシンプルにしようと決めた。

頭の中に、松崎さんに連れて行ってもらったアクアリウム展の金魚鉢が思い浮かぶ。

キラキラ光る金魚たちがすごく綺麗だったな。

余計な飾りものは一切なくて、光と金魚だけで世界が彩られていて、夢のような美しさだった。出来れば、あんな風にしたい。

部屋を暗くしてジェルキャンドルに火を点せば、クオリティは遥か遠く及ばないけれど、少しだけあの雰囲気が味わえそうな気がするのだ。

「これで、いいかな」

グラスをゆっくりまわして出来栄えを見ていると、スタッフがスススと寄ってきた。

「可愛く出来ましたね! 最後にあちらでジェルワックスを注いでください」

仕上げコーナーと書かれたテーブルには、アルミホイルが敷かれたホットプレートがあって小さなヤカンがたくさん並んでいる。

芯となる紐をピンセットでつまんで、それを伝うように静かに注ぎ入れてくださいと説明を受け、熱いから気をつけてとも注意されて慎重になる。

ジェルワックスがグラスを満たすと、割り箸で紐を挟んで真っ直ぐにして固定した。

「はい、お疲れさまでした! 固まるまで三十分程度かかります。ラッピングしたものをお渡ししますので取りに来てください」

交換の番号札をもらって教室から出る。

突発的な体験だったけれど、とても楽しかった。知らない人とお話も出来たし、こういうのっていいな。
< 150 / 210 >

この作品をシェア

pagetop