恋かもしれない
店内は全体的に飴色のインテリアで、ステンドグラスの照明器具が各テーブルの上に垂れさがっている。とても落ち着いた雰囲気だ。

家族連れの姿はなく、カップルが多い。

大人っぽい雰囲気のせいかな? 

そう思ったけれど、メニューを広げて納得した。

ランチなのに二千円からと高めだし、子供用のメニューがないのだ。

料理を注文し終えると、岩田さんがモザイクアート体験談を語り始める。

テーブルの上に乗せられた作品は男の子が見せてくれた鍋しきよりもクオリティの高いもので、アートと呼ぶにふさわしい感じだ。

でも簡単すぎて拍子抜けしたらしく、小学生向きで大人が楽しめるものではなかったらしい。

だからあのとき機嫌が悪そうに見えたのかな。


「工夫次第でいいものができるかもと思って挑戦したんですが。まあ、アイツと同じく鍋しきにしますよ」

岩田さんが苦笑しつつ作品を袋に戻すと、丁度料理が運ばれてきた。

「うん、美味い! ここを選んで正解だったな。実はフードコートにしようかと思ったんですが、また教え子に会いそうな気がしまして……実際体験教室でも生徒がいましたからねぇ。あまり地元に来るもんじゃないなと思いましたよ」

普段生徒と一緒にいるので、プライベートでは会いたくないと言う。

やんちゃな子供たちの指導やその保護者との付き合いに気を遣うので、休日は学校のことはなるべく考えないようにしたいとも言った。

試合への送迎もそうだけれど、先生というのは本当に大変な職業なのだ。

心の病にかかる人も多いらしい。

< 152 / 210 >

この作品をシェア

pagetop