恋かもしれない
六畳ほどの部屋に案内されて立ったまま待つ。

ソファの背もたれに服が無造作に掛けてあって床に雑誌や本があったりして、生活感漂う部屋だ。

「散らかっていてすみません。でも独身男の部屋なんてこんなもんですよ。気にしないで」

隣の部屋にいる岩田さんの声が聞こえてくる。

独身男……松崎さんの家はリビングには何もなかったけれど、やっぱり寝室の方はこんな感じにごちゃっとしてるのだろうか。なんだか、想像できない。

「でも、綾瀬さんを招き入れるなら、もう少し片付けておけばよかったな。どうぞタオルです」

背後から声がして、両肩にふわりと掛けられる白いタオルが視界に入るのと一緒に、日焼けした腕が胸の方に向かっておりてきた。

同時に頭の上に熱い息を感じ、背中にぬくもりを感じてしまう。

「え?」

咄嗟に体をひねって振り返りながら一歩後退りをすれば、岩田さんはタオルを持ったまま腕を広げていた。

「タオル、ここに置きます。使ってください」

「あ、ありがとうございます」

「いいえ、寒いでしょう。あったかい飲み物持ってきます。どうぞ座っていてください」

気のせいかな。今、後ろから抱き締められそうだった? 

なんだか怖い。

ここに居たくない。ソワソワする。

すごく自意識過剰なのかもしれない。けれど……。
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