ストーカーと王様と時々アサシン
第1章
◯自宅アパート・玄関(夜)



仕事から帰って来た私が鍵を回しドアを開けると、玄関に知らない人が座っていた。


私はアパートで独り暮らしであり、鍵の掛かった家の中に人がいるなどありえない話なのだが…


どうしてか、こうして知らない人がいらっしゃる。


パッと見、成人男性、足はあるので幽霊ではない。確実に実態を持った人間だ。


ここで悲鳴の一つでも上げるべきなのだろうが、その人はこちらに三つ指をついて頭を下げた状態だったので、怪しさが薄れ悲鳴を上げるタイミングを失ってしまった。


因みに、顔を伏せた状態で知らない人だと思ったのは、三つ指ついた状態でも図体がやたらとデカいからだ。


こんなデカい奴、私の知り合いにはいない。


万が一、知り合いが肉体改造をして現れたとしても、人の家に、しかも鍵の掛かった家に、勝手に上がり込んで玄関で三つ指ついて私を待ってる奴なんて、私の知り合いには一人もいない。


男「お帰りなさい。お仕事お疲れ様です。」


柳「ただいま…です。」


知らない人に"ただいま"と言うのもはばかられるので、咄嗟に"です"をつけてしまったが日本語として…いやいや、今はそこではない。


取り合えず、問う。


柳「どちら様ですか?」


それに相手は頭を下げたままで返答する。


男「わたくし、栗林、い、さ、ぎ、(潔)と申します。柳さんのストーカーをさせて頂いております。」


柳「ああ、それはどうも…」


いや、違う。私、"それはどうも"じゃない!


この人ストーカーって言ったよね!?


警察に電話!


早く来てもらわないと!


私が鞄の中からスマホを取り出し画面をスワイプさせる間にも、ストーカーは話を続ける。


潔「歳は29、職業は警察官をしています。」


目の前に警官おったー!

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