学校一クールなキミのお世話係になりました
後ろから名前を呼ばれ、びっくりして立ち上がり振り返ると、体操着姿の一ノ瀬君だった。


「どうしたの、こんなところで。もう授業始まってるよ。もしかして体調が悪い?」


「あ、えと」


上手く説明できなくて、困ってしまう。と同時に彼に声をかけられたことで急に現実に引き戻された。


それに右手がヒリヒリ痛くて爪を立てたところが赤くなっていた。


そうだ、なんで私ったらこんなところでぼんやりしているんだろ。


授業をさぼったことなんて今まで一度だってないのに。


「大丈夫?顔色がよくないよ。保健室行く?」


「あ、あの」


突然彼に話しかけられて戸惑ったけれど、彼は凄く心配そうにしてくれている。


「月島さん、ここに座ろうか」


彼に言われまたベンチにヘナヘナと腰を下ろした。


一ノ瀬君は心配そうに隣のベンチに腰を下ろして私を覗き込む。

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