俺の新妻~御曹司の煽られる独占欲~
一瞬誰に向けられた言葉かわからず、きょとんと眼を瞬かせる。
顔を上げると、私の座るソファの横にひとりの男の人が立っていた。
スーツ姿の精悍な印象の、大人の男の人。
私より年上なのは間違いない。
きっと三十歳くらいだろうか。
端正な顔立ちに意思の強そうな瞳。艶のある黒髪を自然に横にながし、上質なスーツを身に纏った彼は、いつまでも返事をしない私を見下ろしながら、小さく首をかしげる。
「着物が苦しいのか?」
帯のあたりに手を当てた私を見て、眉をよせながらそうたずねる。
「え?」
「ホテルのスタッフに言って、帯を少し緩めてもうらおう」
私がぽかんとしているうちに、彼はそう言って辺りを見回した。
ホテルのスタッフを呼ぼうとしているのだろう。
「あ、大丈夫です! 着物が苦しくて具合が悪いわけではないので」
「無理をしなくていい。そんなに体にぐるぐる巻きつけているんだから、窮屈なのは当然だ」
そう言って彼は私の着ている着物を見下ろす。