それでも君を
針が刺さった感覚がした。



私の顔が歪んだのだろうか。



真ちゃんは颯くんの方を見ていないので刺したことはわからないはずだか、フォローを入れるのは素早かった。



「梨央、大丈夫だよ。僕のことみてて」



「…はぁっ」



だんだんと息が苦しくなってくる。



「採血してるの青城先生だから。怖くないでしょ?」



「もう終わるからな」



颯くんからも声がかかる。



採血しているのは颯くん、颯くんは怖くない。



心の中で呪文のように唱える。



もう終わると聞いて安心したのか、颯くんだと認識できたから安心したのか、意識を失うことなく最後までできた。



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