それでも君を
「ごめん…怒ってるの?」



小さな声でそう問うとすぐに申し訳なさそうな返答が戻ってきた。



「いえっ。すみません、言葉が強かったですね。少し取り乱してしまいました。」



なんで?



先生が取り乱すほど、危ない状況なの?



「先生来たら、伝えようって、思ってた」



熱のお陰か素直な言葉が口からこぼれる。



「っ!遅くなってすみません。けれど、体調に変化があるときは我慢しないで伝えて下さい」



「…うん。…ねぇ、なんでそんなに慌ててるの?」



そんなに病状がよくないのかと、不安になって尋ねる。



「そっ、それは、、」



「それは?」



「ふ、触れても熱を測っても立川さんが全く反応しないから、心配になったんです」



…そうなんだ。



普通に寝てたつもりだったんだけどな。



熱高いみたいだから、もしかしたら意識朦朧としてたのかも…?



「先生も、そうやって取り乱したり、するんだね」



何気なく発した言葉だった。



けれど、先方には意外と響いたようだ。




「しますよ。立川さんは大事なっ、、、」






「患者さんですから」


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