昨日、彼を振りました。
「なあ。
今晩、飲みに行かないか?」

「えっと……」

別に予定はない。
いつもなら行きたい。
でも。

「ごめんなさい、です」

夜もきっとこのまま、眼鏡なわけで。
そんなの、困るわけで。

「どうしてもダメか?」

レンズの奥の目が悲しげに歪む。
とたんに心臓がぎゅっと締め付けられた。

「……ちょっとだけならいいですよ」

「よかった」

今度は、嬉しそうに笑う眼鏡の荒木さんに、きゅんって音がした。
だから、眼鏡ありの荒木さんはたちが悪い。


荒木さんは結局、あれからずっとご機嫌だった。
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