バンパイア・ トラブル
そして。

おれはいつも腹ぺこだった。
満腹になったことがない。

女関係にはいつもそうだった。

食っても食っても、満腹にならない。



だが今はどうだ?



おれは礼子を見つめる。



「礼子が好きだ。間違いない」



礼子の瞳が、はにかむ。



「わたしにはトラブルがあります」
「知ってる」



おれは礼子を見つめる。



「でもな。もう、おたくじゃないとダメみたいなんだ。満足できない」



そう礼子は極上の料理でスイーツだ。

しかも食う者を向こうが選ぶ。
難ありらしいが、おれにはぴったりだな。


おれが云うと礼子は泣いたまま、笑う。



「変わった人ですね」



礼子の口癖だ。
それを訊きながらおれは礼子の髪を撫でた。
礼子がおれを見つめている。




「わたしが好きですか?」
「もちろん」
「嘘だったら、また気絶しますよ?」
「上等だ。おれは絶倫プレイボーイだからな」




礼子はおかしそうに笑う。



「わたしも笠原さんは嫌いじゃないです」
「おたくの上から目線も嫌いじゃないぜ」



ここまで来て強がる礼子に笑うと、おれは礼子に口づけた。


今のところ、何も問題はない。


トラブルは解決されたようだ。









『バンパイア・トラブル』 終わり
< 15 / 15 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:3

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

暁に星の花を束ねて

総文字数/147,733

恋愛(オフィスラブ)249ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
――崩れゆく世界で、二人だけが互いの明日だった。 巨大企業が陰謀に揺れる都市で、研究者と策略家は、運命の再会を果たす。 十年前の真実が露わになるとき、愛は武器となり、希望は革命へ変わる。 32歳の冷徹戦略部長 × 22歳の純真な新入社員。 十年越しに巡り合った二人の恋が、巨大企業の運命を塗り替えていく――。
表紙を見る 表紙を閉じる
秋の夜、SHT社の帰り道。 白いウサギの着ぐるみを着た星野葵が、橋の上で月を背景にスマホを構える。 その隣には、いつも通り黒制服に黒手袋の佐竹蓮。 完璧な映え写真を狙った一瞬──スマホは手をすべり、川の底へ。 「ひゃあああああーーっ!? わ、わたしのスマホーーーっ!!」 と、そこへ現れたのは──眼鏡をギラリと光らせる片岡課長のオバケ。 「おまえが落としたのは金のスマホか? 銀のスマホか?」 まさかの神話展開(?)から始まる、社内伝説シリーズのハロウィン特別篇です。 霧の夜に現れるオバケは、恐怖よりも“教訓”を授ける存在。 「無料ほど高いものはない」「クラウド保存を怠るな」「積立はドルコスト平均法だ」―― その言葉は、恐ろしくもありがたい経済とデータの守護霊の教え。 翌朝のオフィスではトレンド入りする#片岡オバケ。 結衣の「プランは無制限です事件」暴露に葵が真っ青。 そして佐竹の冷ややかな一言、「落としたのはスマホじゃなくて恥だろう」で締めくくられる、 笑いと社会風刺が入り混じるSHTコメディ。 本作は、SHT社内で語り継がれる都市伝説×金融リテラシーをテーマにした一篇。 ホラーでもラブでもなく、「働く人々が笑いながら少し賢くなる」社内神話のような物語です。 片岡家のご先祖様が説く現代の戒めは、スマホ社会を生きる私たちへの皮肉であり応援。 月夜の下、霧の橋で語られるオバケの教え。 怖いけれど、ちょっと役立つ。 そして、最後にはきっと笑ってしまう。 教訓:歩きスマホと自動更新には気をつけろ。
表紙を見る 表紙を閉じる
月は遠く離れたふたりを結ぶ唯一の光。 それは、言葉よりも確かな約束だった。

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop