Fall in Love. ~一途な騎士団エリートによる鈍感公爵令嬢の溺愛~
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「どうでしたか?屋敷の様子は。」

薄暗いカーテンを閉めた馬車の中で、こそこそと話されること。

この国をさざ波のように震わせている事件の黒幕張本人。

王子の一団の中に入り込み、視察としてあちこちを見学していた。

そうか、と機嫌が良さそうに返事をした主を見て、側近はここぞとばかりに話を進めたがる。

「では、もう今回で終わりにしませんか?

一度引くなど面倒なことはせずに。

どうにかして、2日ほど、王宮に泊めていただくことにしましょう。

王子に掛け合ってみたら、上手くことが運ぶのではないでしょうか。

その間に、全て片付けてしまいましょう。」

笑顔とは裏腹に言葉は物騒だ。

「おまえはいつでも忙しないな。

だが、実行できる機会は少ない。

何度も訪れればその分ボロが出る。

今が狙いどきなのかもしれないな。

この計画は絶対に失敗できないからこそ、完璧に策を練る必要があるんだよ。

滞在させてもらい、隙があれば狙おう。

無理はなしだ。」

目はどこかを見たまま、笑顔を浮かべている。

これは、何か上手くいっているときの、彼独特な喜びの表現だ。

「それでは、王宮に入ったら私は、ハイネ王女にご挨拶の機会を頂いてきますよ。

王妃が同席してくれるでしょう。

きっと怪しまれずに面会できますよ。」

「そうしてくれ。

俺は王子とともに国王に挨拶してくるさ。

それと、ユイ、王宮内の変化を探っておけ。

何か気になることがあったら、逐一報告しろ。

方法はいつもの通りに。」

淡々と話を進め、終わったときにはユイの姿はなく外の景色に溶け込んでいた。

王宮の門番と王子が乗った馬車の御者の挨拶を聞きながら、憎しみを笑顔で塗りつぶした。
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