Fall in Love. ~一途な騎士団エリートによる鈍感公爵令嬢の溺愛~
マリッジブルーとやら
その日、帰ってから。

私の部屋でのんびりと婚姻の儀の打ち合わせをしようと、集まった。

元々の予定だったからしょうがないけれど、今はマリンに席を外すように頼んでいた。

フォルティスを問い詰めようと思っていたのに。

「リリ。こっちに来い。」

私より遥かに不機嫌な彼の迫力に負けて、びっくりしてしまう。

そういえばそうだったと思い出して、恐る恐る顔をあげると、額にぴきぴきと線が浮かんでいるフォルティスとばっちり目があった。

「分かるか?どうして俺が怒っているか。」

「ううん、わからないわ。」

「シェヴァ王子からトリトン王宛てに手紙が来ていてな。

お礼とお詫びだったらしい。

その中に俺とリリへのも一緒になっていたみたいで。

追伸に、

"セリーナを危険から遠ざけるためとはいえ、リリアンヌ嬢に何も知らせることなく、スキンシップをやたらととってすみませんでした。"

だとさ。

俺はリリから何にも聞いてないぞ。」

シェヴァ王子はそんなことを考えていたのね。

「えぇ。

フォルティスにされるようなことばかりだったから、普通のことだと思ってたの。

ごめんなさい。

どうしたら許してくれる?」

とりあえずフォルティスの怒りを収めようと、全力で謝る。

「そうだなぁ、リリからキスでもしてもらおうか。

唇を消毒して、俺のものにしてあげるよ。」

言った途端、にやりとして私にどうする?と言いたげにちらりと見た。

怒っていたのはほんの少しで、あとはいつもの意地悪だったみたい。

私は今まで自分からキスをしたことがない。

いつもフォルティスがしてくれても、びっくりしてぼぉっとしてしまうだけだった。

「ほら、リリどうしたい?

自分からするか、俺に痛いキスをされるか。」

私の腕を引っ張ってフォルティスの腕のなかに入れられる。

「痛いキスってなに?」

「さぁな。

ほら、5、4、3、2、い」

ちゅ、と自分の唇から音が鳴って、部屋に響く。

慌てていたから勢いよくぶつかったみたいになってしまった。

急いで離れて顔の熱を冷まそうとしたのに、離れさせてくれなかった。

「ダメだ。こんなのじゃ。足りないな。」

そう言って、抱き寄せると膝の上に私を座らせて腰に腕を回して固定した。

向かい合って、しかも跨がってしまっていることに恥ずかしさが出る。

それでも、目が合うと降りようという気はなくなり、見つめあった。

「少し口を開けて。」

意地悪そうに舌を出しながら言われる。

導かれるようにちょっと口を開くと、わざとゆっくりと近づいてきた。

上顎を少し舐めると、私の舌先をつついてくる。

「リリも舌を絡めて。」

そんなことを言われても、今でもう手一杯なのに、要求されることのレベルが高い。

教えるようにゆったりと動く、フォルティスの舌についていこうと頑張って動く。

一生懸命過ぎて、力が抜けていく。

「ふっ、 ぅう、 はぁ」

やっと離してくれたと思ったのに、一瞬で私を強く抱き締めるとまた顔が近づいてくる。

下唇を引っ張ようにキスをされて、なんだか疼くような感覚になる。

私が微かに震えていることに気づいたのか、腰を擦ってなだめようとしてくれたけれど、逆効果だった。

腰がぶるっとして、力が入らなくなった。

膝の上でぐったりとして見上げた私に微笑むと、唇を撫でながら嬉しそうにいった。

「リリ、腰が砕けちゃったのか。

そんなに気持ち良かったとは思わなかったよ。」

「そ、そんなこと、、、!」

恥ずかし過ぎて否定しようと思ったのに、言葉が続かない。

「違うのか?

おかしいな。そうだろうと思ったのに。」

そう言っておでこにキスをすると、全てを見透かしたように微笑んだ。

「正直に言わなかったから、罰が必要だな。」

なに?と聞こうとしたのに、ぎゅっと抱き上げられて左側の髪を後ろに流される。

フォルティスの短めの髪が耳の後ろをかすったと思った次の瞬間、耳たぶの真下辺りがちくっと痛くなった。

「いたっ!何したの?」

「おっ、きれいに赤くなったな。

初めての割には上手くついた。」

私の質問には答えずに少し機嫌がよくなったように声をあげた。

だから何をしたの?と聞く前にもう一度ちくっとする。

感覚的に皮膚が引っ張られたような感じがした。

説明もしないで何なの?

そういえば私は彼に怒っていたんだった。

そう思った私はフォルティスの胸を思い切り押して離れた。

「フォルティス、私も聞きたいことがあるの。

カイが言ってたんだけど、浮気したのね?」

そう言うと、一瞬不思議そうな顔をした後、明らかにフォルティスの顔色が悪くなった。

「なんで、あいつ。そんなこと言ったんだ。」

ぼそっとカイに対して怒っていたけど、それより

「どういうことなの?

説明の内容によっては私結婚を考え直すわ。」

「そんなに疑うようなことじゃない。

ただ、、、」

「ただ?はっきり言ってちょうだい!」

ぷりぷりと怒りモードになった私に、後ろめたそうなフォルティスはたじたじだ。

「ハイネ王女から、自白を取るために抱き締めた。

やりたかったからじゃなく、それしか方法がなかったんだ。」

「どうしてカリオス帝国の帰りにでも言ってくれなかったの?

私がそれを聞いたら怒ると思った?」

言ってくれなかったことが悲しい。

こんな後に人から聞かされる身にもなってほしい。

「嫌われるかと思って、、、

確かに地道に証拠を集める方法もあったんだ。

でも、早く助けるには自白が1番早い方法だった。」

フォルティスは勘違いをしている。

助けてくれた手段に怒っているわけじゃない。

さすがにそのくらい分かるから。

「私、自分を助けに来てくれた方法がどんなことでも怒ったりなんてしない。

ましてや嫌うことなんてないわ。

それでも、私のこと信じてくれてなかったんでしょう?」
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