鬼畜な兄と従順な妹
妹に彼氏が…… 〜真一Side〜
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 ある日の夜、俺は自室でテレビをぼーっと見ていた。俺はこのところ、何もやる気が出なかった。幸子の事ばかり考えてしまうから。

 あいつは今頃、何をしてるのかな。真面目なやつだから、勉強かな。なんて、また幸子の事を考えてしまう俺だった。

 不意にコンコンと、ドアがノックされた。誰だろう。爺やか、あるいはおやじさんかな。なんて思いながらドアを開けたら……

 幸子だった。頬っぺたを赤くした、幸子がそこに立っていた。

「なんだ? どうした?」

「あのね、数学で解らない所があって、教えてくれる?」

 見れば、幸子は数学の教科書を胸の前で持っていた。

「ふーん、おまえでもそういう事あるんだ? わかった、入れよ」

 最近わかったが、幸子はかなり優秀だった。もしかすると、俺より頭がいいかもしれない。だから、珍しい事もあるもんだなと、俺は思ったんだ。

 幸子をソファに座らせ、俺もその横に座った。その方が教えやすいからだ。

「私、ここに入ったの、初めて」

 幸子は、部屋の中をキョロキョロ見ながら言った。そう言えば、いつも俺が幸子の部屋に行ってたっけ。しばらくはそれもないのだが。

 そう。俺は幸子を避けている。あの体育館の一件以来。つまり、幸子への想いに、俺自身が気付いた時から。厳密には、その次の日からだが。

 ちなみに、学校へ行く時は一緒だが、帰りは別々に帰るようにした。

 幸子は、神徳と帰っているらしい。
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