【短】agreement
凌も将も、私にとっては大切な人。
きっと世界中の誰よりも…。
でも、そんな2人はどちらか一人に絞れと迫る。
「はぁ…まぁいいや。じゃ、ご飯ね、食べよ?」
「ののか、紅茶淹れるよ。何がいい?」
何処までも紳士で、そのまま執事にでもなれてしまうんじゃないかというくらい、至り尽くせりの将。
「んーと。三國の紅茶ってまだある?」
「ストックあるよ。じゃ…今日はいちごかな?りんごもあったと思うけど」
「はいはいはーい!りんごがいいでーす!」
元気よく手を振り自己アピールをする凌。
でも、将はあくまでそれをスルーする。
「ののか、どうする?」
「だから、俺の話も聞けよな!」
「…りんごでいいよ」
「…相変わらず、こいつには甘ね、ののかは」
ほんの少し、今殺気立った視線を凌の方へ投げた将は、私の顔を見て、寂しげな顔をする。
「甘くないよ?ただうるさいからね」
「ひっでぇ!のの!俺はこんなにののが好きなのに…」
「分かったから、カットソー引っ張んないでよ」
このへたれわんこ…イケメンのくせに本気でギャップ萌える。
まぁ、そんなコト言ったら、策士なのに私だけに甘い将だって、滅茶苦茶ギャップ萌えするけれど…。