【短】agreement


「はぁ…まぁ。いいや。じゃあ、ご飯食べよ」

「じゃあじゃあ、ののが食べさして?はいあーん」

「…凌、本気で殴るよ?」

「うう、ののが冷たい…」


そんなやり取りをしていると、不意に将の長い指が私の頬に触れた。


「な、何?将…?」

「ん。クロワッサンが付いてたから」

「あ、ありがと…」


本気でどこまでも冷静値な紳士の将に、必然的に顔が赤くなる。

けれど…それを見た凌が、慌てたように自分の方に私のことを向けて、ごほん、と咳払いした。


「のーの。ののはオレの方だけを見て?」

「凌ったら…もう」


今度は、爽やかなアイドル級の笑顔に、赤くなる番だった。


こんなイケメンズに囲まれて、悪い気分になるはずはなく…。

私は自分の平凡さに目を瞑って、鼻歌交じりに紅茶を口にした。






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