異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
三番勝負①
掌の人を飲んだ結果、5才組さんは堂々した歌唱を披露し拍手喝采を浴びた。
終わった後、舞台の上からこちらを見つけて手を振る仕草はもう天使も顔負けである。
提督さんと理事席に座り、軽く手を振り返すと、観客の目が一斉に私に向いた。
何?何なのよ?やっぱりビッチがお気に召さないんですか!?
まぁ、そうでしょうけども。
いろんな感情の籠った視線を浴びて、私は大きく溜め息をついた。
普段はあまり気にならないけど、こうして注目を浴びると、悪意が増幅される気がする。
群衆心理というのかな?
何とも思ってない人でも、悪意の中の集団にいると染まってしまう。
今まさにそんな感じかも………。
そんな不安が伝わったのか、隣に座る提督さんが、わたしの手をグッと握った。
少し………痛い。
でも………安心する。
心配するな、と言ってるんですね。
その心遣いに、私も繋いだ手を強めに握り返しておいた。
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