異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
三番勝負③
私の隣では、大原さんが真っ青な顔で座っている。
負けるはずがない、そう思っていたんだね。
何だか少し申し訳ない気もする。
だって、本来なら大原さんの相手はすずなお嬢様で、私は部外者なんだから。
だけど勝負は勝負。
私は大原さんを振り返らず壇上を降りた。

「良くやった!!君はすごいな!」

と、駆け寄ってきた提督さんは大波が押し寄せるように私の体を飲み込んだ。
いや、抱き締めた………。
だから何度も言うけど……苦しいよ!!

「ぐぇ……どーも、ありがとう……ございます……うぐ」

私の苦しそうな声に提督さんはパッと体を離し、ふっと恥ずかしそうに笑った。

「おめでとうございます!一勝ですね!あと二つも勝って行きましょう!!」

少尉さんも提督さんの後ろで笑みを溢している。

「はは……どうかなー、次は苦戦しそうだよ?」

「何故です?ピアノ、苦手ですか?子供達に弾いている姿を良く見かけましたが?」

「苦手じゃないけど……うん、まぁ、がんばります」

歯切れの悪い私を見て、提督さんは大きな手で頭をポンポンと叩いた。
これは!!
あの、例の頭ポンポン!?
って、そのままやないかーい!!
あっちの世界の雑誌で見たぞ!!
イケてる男に頭ポンポンされると、好きになってしまうんだ!!
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