異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
「君なら出来るよ。信じてる」

………いや、これは、惚れてしまいますな。
惚れない方がおかしかろ?
すずなお嬢様が羨ましいな、こんな何でも揃ってる男に心底惚れられるなんてね。

「が、がんばります」

私は一生懸命平静を装いながら答えた。
惚れても所詮人のもので、私が愛されてるわけじゃないんだからね。
それをよーく覚えておかないと、大変なことになる。

「それでは、只今から二番勝負を始める!両者集まってくれ!!」

マイクを持った御姉様がまた大声で集合をかけた。
うん、マイクの意味ないね。
もう、叫べばいいじゃない??

「あ、お呼びがかかりましたので……」

「ああ、頑張れよ」

「頑張って下さい!」

2人の声援を受けて、私は壇上へと向かった。


壇上にはさっきとは打って変わって、好戦的な大原さんが、用意されたパイプ椅子に座りこちらを睨み付けている。
殴りかかって来そうな大原さんの隣に、私は目を合わせないように座った。
目が合うと絡んでくるぞ!
気を付けろ!!
ヤンキーを刺激しない心得は、こういうところでも役に立つ。
あ、島にヤンキーはいなかったな。
と、とにかく、私は絡まれないように空気になることにした。
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