異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
トラットリア・ミヤガワで打ち上げを!
それから外食フロアに向かう途中で、いろいろな場所に案内された。
まず、提督さんの仕事場であるブリッジ(船橋)。
そこは船の最上部にあり、甲板や海原全てが見渡せるようになっていた。
船長(提督さん)が座る椅子の前には、年配の航海士さんが座っていて、その前の大きな電子機器を巧みに操作している。
さすが戦艦島。
当たり前だけど、海神島の漁船とは違うわ。
おっと、比べちゃいけないね、ごめんなさい。
提督さんは航海士さんに一言声をかけ、私達はそのままブリッジを後にした。
後は、電算室を見たり、機械室や、作戦室を見学したりしながら、ゆっくりと廻る。
そのどれも見たことのなかったもので、必然と好奇心が擽られた。
提督さんの説明もとても分かりやすい。
これ、絶対子供達にもウケるよ!
そう思って見学遠足が出来るように提案してみた。
もちろん、提督さんの説明付きで。
すると、提督さん「オレの説明なんかつまらんだろう?」なんて言いながら顔は嬉しそうだったよ!
もう、ほんとに可愛いんだから!!

そうして楽しく見学コースを廻り、今度はちゃんと階段で、外食フロアを目指した。
6階に着いた頃には、時間はもう午前11時30分を過ぎていて、外食フロアは沢山の人で溢れている。
人の波を掻き分け、提督さんに手を引かれ右へ左へと進んで行くと、着いたのは

『トラットリア・ミヤガワ』

というお洒落な看板が掲げられた店の前だった。
この「トラットリア・ミヤガワ」とは、那由多1の人気店。
そして、宮川りょうくんの実家だ。
今日ここに連れてきてくれたということは、やっと美味しいイタリアンが食べられる、ということですよね?
やったーー!
前に貰った割引券を使う時が来た!
あ、因みにお給料は昨日の帰りに貰ったので、抜かりはないのですよ!!

「提督さん、今日はこの券を使いましょう!!」

と、私は嬉しそうに割引券を見せた。

「ふふ、そうしたいが今日は止めておく。今度改めて二人でゆっくり来たときにしよう」

「え??今日も二人ですが??」

と言う私の問いかけに、提督さんは含み笑いで返した。
んん?何かな?
首を傾げる私の前で、提督さんはお店の扉を勢い良く開けた。
その瞬間ーーー。
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