異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
「さて、それで、本題だ」

「え、まだ何か??」

昨日の件はそれで終わったんじゃないの??
何か問題残ってましたっけ?
私はキョトンと首を傾げ、提督さんを見つめた。
本題というからには重要案件であるのは間違いないはず。
だけど、その重要なこと……私ちっとも思い当たらないんですが!?
提督さんは、テーブルの上に指を組み、真っ直ぐ私を見据えた。

「こんなところでなんだが、結婚してくれないだろうか?」

「はぁ………は!?」

えーーーと、参ったな。
聞き間違いかな?
店内がうるさいからね、そうだ、「結構地味なグレーだな」と言ったのでは?
あはは、今日の綿パンの色、ちょっと地味だったからね……。
……………………………………。
……………………………………。
え?

「返事は……貰えないのか?」

綿パンが地味なことにですか?
それとも………やはり、聞き間違いではなく??
提督さんは、真剣そのもの。
三白眼の美しい瞳が、こっちを真っ直ぐに射る。
芸術品のようなその造形に一瞬心を奪われたけど……それどころじゃなーい!!
黙ったままの私に、提督さんは今度はハッキリとした口調で言った。

「結婚してくれ」

これはもう、間違いようがない。
結婚………と言いましたね。
結構ではありません。
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