異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
emergency
「ど、どうして……また、いきなり??」

私はしどろもどろになりながら、頑張って声を出した。
いや、だって、ダメでしょう!?
偽物と結婚しちゃったら!!
えっと、こういうときはフレディか、少尉さんに助けてもらおう、と目を泳がせた。
が!!
こんなときに限って、誰もこっちを見てないじゃないのーー

「いきなりじゃない。君に出会ってからずっと考えていたんだ」

と言いながら、提督さんは身を乗り出した。
これもう、限界じゃないの??
すずなお嬢様じゃないってこと言わないと、提督さんが誤解したまま私と結婚してしまう!!

「ちょっと!ちょっと!お待ち下さい!!……あの、色々段取りもありますし、そのお返事は後日ということで……」

私は真剣な提督さんから目を逸らし、なんとか時を稼ごうと必死になっている。
だけど、提督さんはそれを許さない。
長い指で私の顎を掴み、グイッと自分の方を向けて、至近距離で言ったのだ!

「オレのことをどう思う?」

「ふぇ?」

「好きか?嫌いか?」

そんなもの、言うまでもありませんけど?

「す、すきでしゅよ?」

でしゅ………お間抜けなこの返事に、提督さんはにっこりと微笑んだ。

「なら、問題ないじゃないか」
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