異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
「……いえ、そんな大したものではございません……」

ただの高校生です。もうほっといて下さい……。

「ご謙遜を!!知っていますよ!」

「は?何をです?」

「セリも持ってるんでしょう??オーマみたいな力を」

おっと。
やっぱりそうきたか。
だけどなぁ……、私の力なんて使い道が限られる上に、見せろと言われて見せられるもんじゃないし。
大体ね、海の生き物と話せることなんて、どうやって証明するのよ!

「……いえ、本当に!大したものじゃないです。風とか吹きませんし、海とかも荒れませんしね。そういう力業ではなくて、こう……円満に話し合いで解決出来るような、平和的な能力というか……」

フレディも少尉さんも目に?マークが浮かんでいる。
うん、この説明じゃ何がなんだかわからないよね。
でも、出来ることなら話したくない。
だって、桔梗さんのような凄い力じゃないんだもん!

「具体的にどんな能力なのですか?」

少尉さんはそれでも突っ込んで聞いてくる。
フレディもそれに合わせて身を乗り出した。
………仕方ないか……。

「海の生き物と話が出来ます」

「は!?」

「なっ!?」

二人ともが同時に短く叫び、その声に驚き私の体はビクンとなった。
あまりにショボくて思わず叫んだのかな?
と、二人の様子をチラチラ伺うと、何やらこそこそ小声で話し込んでいるではないですか!?
これは……『けっ!使えねーな、どうする?海に簀巻きにして沈めるか?』
という相談でしょうか?

「セリ、その能力は全ての海洋生物に有効ですか?」

フレディは珍しく難しい顔をして聞いてきた。

「多分……。プランクトンとかは試してないですけどね。貝とかヒトデとかでも大丈夫でしたよ?」

「……………………」

フレディはあごに手を当て考え込むと、また小さな声で少尉さんとこそこそし始めた。
何なのよー、気になるじゃないの!
はっきり言ってくれればいいのに!
そんな二人の態度に我慢の限界が来はじめた時、フレディは私に静かに諭すように語った。

「その能力のこと、まだ誰にも言わないで下さいね。使うのも無しですよ?わかりましたか?」

どういうこと?と尋ねようとしたけど、いつになく真剣な表情のフレディと、難しい顔をしたままの少尉さんを見て、私はコクリと頷くしかなかった。
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