異世界の巫女姫は、提督さんの『偽』婚約者!?
それから理事長室を後にし、私は保育ルームの隣の部屋で、また花の内職に精を出した。
そのかいあって、あと少しで終わりそう。
このぶんなら、ピアノの練習をしても問題ないだろうと、私は保育ルームに移動した。
今、子供達はお遊戯室で文化祭の歌の練習をしている。
帰ってくるまでにはあと一時間はかかるはず。
それまで練習させてもらおう。
最近子供たちのために、童謡しか弾かなかったからなー、少し指が鈍ってる。
私は軽くグーパーグーパーと手をほぐしながらピアノの前に座った。

海神島にいた頃、私は先生の代わりにピアノ伴奏をしていた。
過疎地故にちゃんと担当(音楽教師)がいるわけではなかったからだ。
幼いころからピアノを習っていた私は、まさにうってつけだったわけで、何かと重宝されたものだ。
と、まぁそんなわけで、実は御姉様がピアノ対決を持ち出した時には、ラッキーとも思ったんだけど……。
結局はさ……勝ち目のない戦いをすることになったんだよねぇ。
でも、例え勝ち目がなくとも、手は抜かない。
それは、私がやってきたことを否定することになるから。
結果なんて知らん。
私は私のピアノを弾くだけ。
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