愛、うえ、を
空が鳴る。空気を胸いっぱいに吸い込んで、お腹いっぱい飲み込む。空はどこまでも続いている。私たちの未来も、きっとどこまでも自由なはずだ。
「ミカったらー。」
後ろを振り返ると、由依が私のことを呼んでいた。ウエスト部分で調節された短いスカートは、窮屈そうだ。白いワイシャツの中にスーっと風が入り込んで胸元がふわりと広がる。ふかふかに見える胸元が急に切なく見えてきた。
由依とは幼馴染だ。だけど、保育園も小学校も中学校も一言も話したことがない。なんというか、由依は、私と住む場所が違う気がしていた。
中学生のころ由依はとても目立つグループの中にいた。肌の色が透き通っていて、髪の毛がつるんと腰まで伸びていた。ピカピカに磨かれた爪。周りにいる友達。その全てが特別で輝いていた。
好きな人からのラインを待つだけで、今日も一日終えた。さようなら。こうして少しずつ歳を取って大人になっていくのね。さようなら。好きな人が自分のことを好きになる。こんな単純なことがすごく難しくて、複雑で。どうしようもなく辛くて。忘れたいのに。好きじゃなくなって欲しいのに。なのに、忘れようとすると、苦しいんだ。今日も一日おわる。辛い辛い。1日が。いつか幸せな一日になるように。願いを込めて、祈りを込めて。明日こそ連絡がきますように。なんでこんなに進まないのかな。恋も私も。あの人の好きな話題はなに?あの人が私のことを好きになるにはどうすれば良いの??会いたい会いたい。会いたい。どうすれば会えるの?どうすれば2人で会えるの??あの人が私に興味を持ってくれるにはどうすればいいの??好きよ。好き。たまらなくすきなの
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