どんなに遠く離れていても
身体を売ってヘトヘトになって帰ってきた日。
私はベットに寝転がりながら電話をしていた。
しばらくすると山崎が私の身体を触り始めた。
そしてその反応を楽しむかのように攻めてくる。
相手に声が聞こえないうちに謝り電話を切った。
「もう疲れてヘトヘトなの。勘弁して。」
私の言葉を聞かず、また山崎に抱かれる。
もうかなりの限界だった。
6月中旬だったと思う。
「もう...嫌だっ。家に...帰りたいっ...。」
ついに本音が出てしまった。
それも号泣しながら。
『あぁ、そう。じゃ、帰れば。
俺は別にお前が居なくても生きていけるしな。
でも、もう行く当てないんだろ?
もしかしてお前を気に入ってくれる奴でもいた?
ま、そっちの方がお前も楽だろう。
身体を売らなくたって、お前の事好きな奴だったら全部面倒も見てくれるだろうしな。良いよ。
さっさと出ていけよ。』
その言葉に私は何も言えなくなってしまった。
私には行く当ても頼れる人もいないのを知っている
そして何より家に帰りずらくなっていた。
日にちが経つにつれて。余計に。
この人には無理だ。そう思った。
山崎は謝った私を見て
勝ち誇ったような笑みを浮かべた。
やっぱりこの人の言いなりになるしかない。
もうしばらく私は山崎の家にいる事になる。
これから先の事なんて全くわからないまま。
私はどうしていけば良いのだろうと
不安が募っていった。
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