先輩に一目惚れしたんで、サイエンス部に入部します!
「空気中の酸素は、肺の気管支の先にある何で血液中に取り入れられるでしょうか?」

これは……わかる!わかるぞ!

「肺胞!!」

クイズ番組だったら、ピンポンピンポンと音が鳴っているだろう。友永が悔しそうに、「正解だ…」と呟く。

「では、肺循環と体循環は何?」

……………………俺、沈黙。そしてフリーズ。

友永、めっちゃ殴りたくなる顔。勝ち誇った顔でこっちを見ている。

岩井先輩と河合先輩、ラブラブいちゃいちゃ。ハグをして、キスをして……。ここ、学校っす。校舎内っす。人いるっす。

「ふっ、何が勉強しただ。全く答えられていないじゃないか!」

友永が答えを言おうとしたその時、部室のドアが開いた。

「血液が心臓を出て、肺を通って心臓に戻ることを肺循環。心臓を出て体の各器官を通って心臓に戻ることを体循環と言うんだよ!」

天使のような笑みで、星野先輩は言った。どうやら俺たちの声は廊下中に響いていたらしい。

「遅れてごめんなさい!それでは、部活を始めましょう!」

星野先輩、アイラブユー!!俺は心の中で叫んだ。



俺がサイエンス部に入部して、早三週間。サイエンス部は、屋内でも活動するが基本は外が多い。外では動植物の野外観察、育てている野菜の水やりなどをする。屋内では、実験をしたり理科のおさらいをしたりするんだ。

俺はいつもだいたい一番に部活に行く。星野先輩に早く会いたいからだ。

でも、誰もいないと部室は静かで寂しい。仕方なく、俺は図書室で借りた本を読むことにした。

この部活に入ってから、理科関係の小説などを読むのが楽しくなった気がする。まあ、相変わらず理科は苦手なんだけど。
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