先輩に一目惚れしたんで、サイエンス部に入部します!
「アミラーゼ、デンプンを麦芽糖に分解する。だ液とすい液に含まれる。ペプシン、タンパク質をペプトンに分解する。胃液に含まれる。トリプシン、タンパク質をペプチドやアミノ酸に分解。すい液に含まれる。リパーゼ、脂肪を脂肪酸とモノグリセリドに分解。すい液に含まれる……」

俺ーーーではなく、河合先輩が淡々と答える。

「お困りのようだったから、手伝わせてもらったよ。迷惑だったかな?」

河合先輩が喋る声を聞いたの、初めて…。

「いえっ!ど忘れしてたんで、助かりました!ありがとうございます」

さっきの日本語なのか?よくあんなのスラスラ出てくるな。

河合先輩の隣に立つ岩井先輩、目がハートになってる。そして岩井先輩は、河合先輩に抱きついた。

「さすが私のマイダーリン!すごい!優しい!好き好きだ〜い好きっ!!」

ラブラブな空気は、邪魔することはできない。でも俺と星野先輩もあんな風になれたらなぁ〜。

そう思いながらぼんやりする俺を、教科書で友永が叩く。

「おい、勉強に集中しろ!」

「おい!いきなり叩くなよ!」

俺の言葉を無視して、友永は解説スタート!星野先輩、早く来てください!この悪魔を止めてくれ〜!

「栄養分は、小腸の内側にある柔毛から吸収される。柔毛には、毛細血管とリンパ管が数多く分布している」

俺も負けじと口を開いた。

「ブドウ糖とアミノ酸は、毛細血管に入り肝臓に運ばれる。ブドウ糖は肝臓でグリコーゲンに合成され、一時的に蓄えられる」

友永は、「やるな…」と呟き、再び問題を出した。
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