アブナイ王子様たち
「……っ」


言葉を返すことができなかった。


私の視界に映っている翔さんが、真剣な眼差しをこちらに向けていたから。


いつもの翔さんは、ニヤニヤとしたいやらしい笑みを浮かべている。


だけど、今は違う。


「い、言えないですよ……」


違うからこそ、余計に突き放そうとするんだ。


それは、翔さんだけではなく、悟さんや誠さん、薫くん、匠くんが相手である場合も同じ。


5人の本当の気持ちを知るのが怖い。


だから、真剣な眼差しを向けられたとき、いつも言葉や行動で、突き放していた。


しかし、翔さんはそれを許さないのか、顔をさらに近づけて、コソッとささやいた。


「ふーん、逃げるんだ?


べつに逃げてもいいんだぜ?


俺に襲われる覚悟があるならな」


え……っ⁉︎
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