アブナイ王子様たち
「違いますってば」


本当はそうなんですけどね。


心の中だったら素直に言えるのに、なんで、面と向かって言えないんだろう。


「ま、いいけど。


離れてほしい理由が、俺のこと意識してドキドキが止まらないからじゃないなら、いったいなんなわけ?」


うっ。


突然の質問、やってきました。


どうしよう。


嘘の理由、まだ考えてない……。


うーん。


とりあえずこう答えよう。


「え、えっと……ひ、ひとりでオーシャンビューを見たいからです!」


う、嘘を言っちゃった。


ほんのちょっとだけ罪悪感を感じるけど、ドキドキしてるって突き止められないようにするためには、嘘をつく必要がある。


ごめんなさい、翔さん。
< 577 / 642 >

この作品をシェア

pagetop