アブナイ王子様たち
私はとんでもない嘘つきです。


素直になれない、悪い子なんです。


心の中で謝った直後、翔さんが私から少し離れた。


その顔が、切なさを含んだ笑みを浮かべているように見えるのは、気のせいだと思いたい。


「……そっか。


ひとりでこの景色見たいなら仕方ねぇな」


翔さん、やけに優しい……。


もしかして、ストーカーに追い詰められそうな私に気を遣ってるのかな。


翔さんって意地悪だけど、私を心配したり、気を遣ったりする、優しいところがあるよね。


だから、その優しさが身に染みるんだ。


今は、好きという気持ちを言わずに、感謝の気持ちを伝えよう。


「……すみません。


ありがとうございます」


「いいって。


俺に気を遣わなくてもいいよ」
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