👑Emperor bride

また城へ

バタバタ、チコを追い回し愛情
表現を繰り返す。


チャンクがニコニコして見ている
のにも気づかない。

後ろにも控えている三人衆も
余りのドタバタに

「間違いなく琴乃様だ‼」
と苦笑い。

琴乃とチコが一段落した頃
チャンクが声をかける。

「ぺろと知り合い?」

「ペロ?チコの事。
あの日チコを車に乗せて
ここに迷い込んだの!

何故かチコが居なくて
ずーっと心配だった、
チコもアッチの住人なのよ
私の世界の!。」

チャンクは、 「あ〜あ‼」
と一言呟いた。

あの日琴乃の代わりに、チャンク
の腕に飛び込んで来たのは
ペロだったのか‼。


「チコ返してくれる。」

チコは琴乃をポンと飛び出し
チャンクに飛びっ着くと
レロレロレロと
チャンクの頬を舐めた。


「かえす、返さないじゃない

チコはこの城を自由に遊んでる。
張蘭だってチコがいるから
楽しいんだ。

琴乃も、ココに住めば
いいじゃないか?」

「張蘭...が?」

「張蘭もお前が一緒なら
喜ぶぞ。

勿論、カワン、もヨンスンも
呼び寄せるつもりだ。」


「殿下、知らせが参りました。」
一人の兵士が現れ銀色の兜を取り
立膝をつき頭をさげた。

「よしっ‼琴乃
帰ったら話をするぞ‼」

そう言うと偉い頑丈な服を着て
三人衆を従えながら出ていった。


窓から外を見ると
何千人いるのだろう。

騎馬隊、護衛兵、外はまるで
自衛隊の基地のようになっている。

迷彩服を着た人が沢山並び
上空にはヘリが何機も飛んでいる。

チャンクが外に出てジープに
乗り込むと順序よく並び右に左に
バラバラに進んでいった。

重苦しい空気が城を包み不安を
感じずにはいられない。

「何が起きているんだろう。」

子供の頃にこの城で覚えた恐怖が又
琴乃の胸を掻き乱した。



メイド長の案内が無いと
チャンクのエリアには
入れないらしく、
背の高いメガネを掛けかなり
賢そうな60代全般の女性が現れた。

眼力が半端なく、
鼻が高く頬はシュッとしていて
琴乃は、ビビってしまった。

彼女は、フッと笑うと、
「琴乃様、初めてお目にかかります。
カリーナと申します。
チャンク様のメイド長をやらせて
もらっております。
お見知り置き下さいませ。」

と似合わない可愛らしいメイド
服の裾を広げ挨拶をした。


「え、ええと、お世話になります。
こちらこそお見知り置き下さい
ませ。」

と琴乃も良く似合ってる花柄の
可愛らしいワンピースの裾を広げ
頭を下げた。

そういえばお后様に呼び出された
時も王専用のメイド長が迎えに
来て連れて行かれた。
あの時は80位の目のキツい
老人だった。
しかし足腰も強く鍛え上げた
体をしてたっけ?


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