俺はまだ君の名前を知らない

第2話ー君の名前と再会ー

『プルルルルル…プルルルルル…』
携帯から着信音がする。
おそらくあの女だろう。
俺は、そう思いつつスマホを持った。
『もしもし…あの…今日の…』
すると、意外にも怯えた声が聞こえてきた。
『あ、大丈夫です、分かります』
恐らく分かるか心配なんだろうと返事をする。
『あ、あの…お礼として、ご飯を奢りたいんですけど…』
女の声は段々とか細く成って行った。
『あ、はい』
『ですが…友達が…“調査する”とか“監視する”とか…訳の分からない事を言っていて…一緒に食べると言って聞かないんですが…』
あぁ、そう言う事か。と、俺は理解した。
よく考えれば分かる事だった。
こう言う天然っぽい女には、
親や姉のような友達が世話を焼かないと、生きていけないだろう。
『あ、別に良いですよ』
だから、俺は承諾した。
『そうですか!良かったです!』
すると、急に女の声が明るくなった。
恐らく今朝のような笑顔なのだろう。
そこまで友達を連れて行く事が心配だったのだろうか?
『では、いつが暇ですか?』
『えぇ!!お礼なのに!私の予定に合わせないで下さい!』
そう言われると今度は女の慌てた姿を思い出す。
『別に、暇な日多いので』
『では、来週の土曜日は暇ですか?』
『あ、その日はどの時間でも大丈夫です』
『では、お昼頃に今朝の駅前で!』
『はい』
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