双星の煌めきは月夜に魅せられて


もう一回同じことって……もしかして。


頭に浮かんだのは傷だらけになったなずなの痛々しい姿。


そんなこと……絶対にさせない!



「ねえ、一個聞きたいんだけど!」


「ん、どうしたのツキ?」


「あたしはこれからどうなるの?」



先程放たれた冷たい声とは一転、対人用の優しい声に厭になるも私は藤原光希に尋ねた。



「どうなるって例えば?」


「あたしはもうこんな目には遭わないんだよね?
桜蘭に助けてもらったことで、何か巻き込まれるとかないよね?」



不安そうな目で見据えていると、黙って見守ってた及川千尋が「絶対にないとは言い切れない」と優しい声音なのにごく淡々と返した。


桜蘭とこれからの関わりを作るために私は敢えて怖がって、隣にいる朔夜の腕を力強く掴んだ。



「だからさ、月那ちゃんをここに留めようよ」


「え?留めるって……」



及川千尋は私に安心させるように微笑んで、如月優生に視線を移した。

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