双星の煌めきは月夜に魅せられて
「月那となずなさん。とりあえず座って」
「いいの?だって椅子2つしかないから、あなた達が座りなよ」
「男を舐めない方がいいよ。俺が体力あるのは知ってるでしょ?」
「……じゃあ、そうする。失礼します」
幹部室に入った私はなずなと一緒に椅子に腰掛ける。
しばらくは帰らないだろうと思ったのか、総長が口を開いた。
「お前はさっき自分が姫だという情報が流れたと言ってたな」
「う、うん」
それはなずなに向けられた言葉で、彼女は話しかけられると思ってなかったからか、驚きながらも平静を装って頷いた。
「お前の言うことは信用できねえが、確かにこれは異常事態だ」
「そうだよね〜。エレナを陥れるためにやったの?
懲りないよね、もう一回同じことやろっか?」
秘密主義の桜蘭。
なずながいなきゃ私も何も知れなかったくらいそれは徹底している。
確かにこれは異常事態、しかし私は漏らした人を知っているが桜蘭幹部達はそうではない。
現姫である橋本エレナではなく、元姫のなずなを全面に疑ってる。