秘密の抱き枕
「鳴、おまたせ…ってあれ?鳴は?」

肉をもっておばちゃんと喋っていたはずの鳴がまたどこかに消えた。

「ああ、あんちゃん。さっきのにーちゃんならお菓子コーナー行くって言ってたよ。」

「え、あいつぅ………。ありがとうございました!」

どんだけ迷子になれば気がすむんだよ……
そう思いながらお菓子コーナーに向かうと、あるお菓子と睨めっこしている鳴を見つけた。

「おい鳴。勝手にどっか行くなよな……」

「ん?ああ、きーくん。ごめんね。」

「なんか見つけたのか?」

そういって鳴のいた場所に行くと、そこにはチョコのコーナーが。

「……食べたいのか?」

「う、うん……あっ、でも、目当ては卵だもんね!ほら卵のコーナーはあっちだって!いこ!」

そういって焦りながら俺の裾をつかみ卵コーナーに向かおうとする。

「……買っていくか?」

そうぼそっと言うと、鳴がぐるんと首をこちらに向けて、
「いいの!?」

と、キラッキラの瞳を向けていってくる。

「1個だけだからな。好きなの選べ。」

「うん!ありがとうきーくん!」

じゃあこれ~と1つお菓子を選んだ。

「よっしゃ。じゃあ卵買いに行くぞ!!」

「うん!」

笑顔でそう言ったあと、行こうとした俺の裾をそっと掴んで、ボソッとありがとうって、そう言ったような気がした。
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