†戦慄の交響曲†
「この身が朽ち果てる頃にはな?俺が嫁入りするんだよ。魔王にな」



絶句した。


幸也も秋冷も、紅燐も悠里も・・・



「そこまで、驚かなくても良いさ。魔王とは昔馴染みだしな。
それに、この薔薇が・・・契約の刻印」


服を少しずらすと、胸の上に黒い一輪の薔薇のアザがあった。



「白蛇を殺したスグに浮き出たさ・・・
魔王に嫁入りはまだ月の巫女としての役目から楽だよ」


悲しそうな笑みを浮かべる。




「魔王に・・・嫁入り・・・」



悠里が繰り返す。



「私はね?後悔なんてしない主義だからね」


沙羅は服を直しながら言う。



「悠里はね?これから霊媒師として生きていくんだから、もう受け入れても良いんじゃないかな?見えてたでしょ?祓いもできるんだから・・・秋冷と手を組んで霊たちを許してあげなよ・・・私は、もうその役目はしないしね」



沙羅はそれだけを言い、今度こそ部屋をでた。




「・・・ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい!!」


悠里は狂ったように謝り続けた。


秋冷が肩を揺らしても謝り続ける。


悠里の焦点が定まっていない。


幸也も悠里の目を覚まさせようとする。


紅燐もどうにか目を覚まさせようとする。


悠里は謝り続けた。
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