足あとが消えないうちに
 
 
幼い頃の、夢をみた。




雪が、僅かに舞うくらいのことが年に一度あるかないかの、積雪なんてテレビの中の出来事でしかない地方の田舎。保育園の頃の私と幼なじみは、家の二階から自分たちの手によって雪を降らせることに成功した。


といっても、それは所詮魔法使いではない、ただの子どものすることで。
せいぜいクリスマスツリーの飾りや座布団の中身の綿を悪戯に舞わせ、それだけでは物足りないからと、折り紙の白色や半紙を千切って散りばめただけのもの。
庭の芝生のくすんだ緑をまるで隠せなかった仕上がりに肩を落とし、あのときの私は多分泣いていた。


一面の銀世界にしたいと駄々をこねる私の隣で、そういえば幼なじみは、とても幸せそうに、きれいだねと微笑んでいたと思い出す。
記憶の中のその表情は、今と変わらない穏やかな性格を体現しているものだった。

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