クールな御曹司と愛され新妻契約
「はい、わかりました。すぐに行って参ります」

私はシャキッと背筋を伸ばして大きく頷く。
プライベートのことは忘れて、心情をしっかり切り替えていかないと。

それにしても、ホテルのスイートルームでパーティーの準備だなんて初めてだ。ワクワクするような仕事内容に、私も思わず笑顔になった。





日本橋にある老舗ホテル『SAIONJI東京』は、日本のホテル御三家のひとつに数えられる『西園寺ホテル&リゾーツ』が運営する、五つ星のラグジュアリーホテルだ。

フロントで会社名と名前を出すと、すぐにフロント係がベルマンを呼びつける。

「ご案内致します」

カードキーを持ったベルマンに案内されるがままエレベーターへ乗り込む。
到着したのは、三十六階にあるプレジデンシャルスイートの扉の前だった。

「こちらのスイートルームでお客様がお待ちでございます」

男性は恭しく美しいお辞儀をすると、室内のお客様へ取り次ぐことなく、私をその場に残して帰ってしまう。

ええっ。忘れ物を届けに来たりした時は、取り次いでもらえたのに。
まさか取り次ぎは不要って言いつけられているのだろうか?
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