クールな御曹司と愛され新妻契約
「じゃあ……一体どうすれば、俺はあなたの信頼を取り戻すことができる?」

苦悶の表情を浮かべた千景さんは、喉の奥から絞り出すような苦しそうな声音でそう吐き出すと、私を再び強く抱きしめる。

「俺は、二年前からずっと麗さんのことが好きだった。
……どうすれば、仕事以外であなたが俺を見てくれるようになるだろう? そんなことを……、あなたの掃除した部屋で、あなたの作った夕食を食べながら何度も何度も考えていたんです」

二年も前から……千景さんが、私を好きだった?

そんなこと一度も感じたことはなかった。


……ううん。
本当は、何度も千景さんのふとした仕草や視線にドキドキしたことがある。

けれども私は幼馴染の言った通り〝自意識過剰〟な人間になりたくなかったし、そのトラウマのせいで、〝私を真剣に愛してくれる人はいないのではないか〟とずっと思い込んでいた。

だから、いつだって内心は千景さんに恋い焦がれながら、澄ました顔で仕事に打ち込んできたのだ。
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