ストーカー
「この人は誰?」


「初めまして。西村郡司と言います」


西村君はそう言い、丁寧に頭を下げる。


「西村……?」


その苗字にお母さんは怪訝そうな表情を浮かべた。


顔だって、捕まった西村君にそっくりだからすぐに気が付くはずだ。


「この度は弟が大変なことをしてしまって、申し訳ございませんでした」


西村君はそう言い、深々と頭を下げたのだ。


「弟?」


お母さんは困惑顔であたしと西村君を交互にみた。


西村君は嘘はついていない。


あたしは何か言いたかったけれど、何も言えなかった。
< 205 / 244 >

この作品をシェア

pagetop