ストーカー
「ちょっと待ってよ。今日俺がここに呼ばれた理由ってなに?」


ようやく普通に会話ができる状態ではないと気が付いたのか、池上がそう言った。


「お前、遙ちゃんのことが好きなんだろ」


そう聞いたのはお兄さんだった。


「まぁ……そうだけど……」


「遙ちゃんに近づくために、なにか変なことしてないか?」


「変なことってなんだよ! 合コンのとき以来会ってねぇよ!」


「会ってなくても、つけ回したりしてるだろ」


お兄さんの言葉に、池上は唖然とした表情を浮かべてあたしを見つめた。


あたしは、自分の事なのに何も言えなかった。


「つけ回すってなんだよそれ。俺そんなことしてない。誰かにそんなことされてるのか?」


そう聞いてくる池上は本気で心配しているように見えた。


あたしは美咲を顔を見合わせた。


犯人は池上じゃないのかも。
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