運命ノ黒イ糸
「今までのお弁当は誰に作ってもらってたんだ?」


そう聞かれて、あたしは一瞬返事に詰まってしまった。


でも、ここはもう正直に話すしかなさそうだ。


「お母さんに……」


「そんなことだろうと思ったよ。朱里ちゃんは見た目意外の努力をしてない」


そう言われて、あたしは下唇を噛みしめた。


輝明の言う通りかもしれない。


「せめて、今日頑張った事は認めてほしい」


「まだまだだよ」


1つお弁当を作る大変さを、今日初めて理解した。


毎日お弁当を作っている母親の大変さを、ほんの少しだけわかった気がした。


でも、それをそんな風に言うなんて……。


「これ、食べる気がしないから購買に行ってくる」


そう言い、輝明はお弁当を置いて立ち上がったのだ。
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