運命ノ黒イ糸
☆☆☆

悲鳴を上げて飛び起きていた。


心臓がうるさいほどに打ち付けている。


外はまだ暗く、朝日は見えない。


あたしは部屋の電気を付けて自分の足の裏を確認した。


土がこびりつき、小石を踏んだため血が滲んできている。


「嘘だ……あんな夢、嘘だ……!」


もう1度ハサミを握りしめて、黒い糸に押し当てた。


しかし、糸はビクともしない。


「切れろ……!」


願いを込めて力いっぱいハサミを押さえつける。


あたしはグッと目を閉じて涙をこらえた。


大丈夫、こんな糸すぐに切れるから。


大丈夫、大丈夫。


そう信じていないと、恐怖で気が狂ってしまいそうだった。
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